サトウ多めはあまあまデス
「何?」

 ケイちゃんの少しだけだけど驚いた声が聞こえた。

 そりゃそうだ。急に後ろから抱きつかれたら誰でも驚くよね。でも…。

「だだいまのハグ…忘れてたから。」

「あぁ…。ハグならさっきしたんじゃないのか?それよりこれだともう一つはできない。」

 もう一つってだだいまのチューのことだよね。

 でも違う。
 だだいまのスキンシップがしたかったわけじゃなくて、えっと…勇気を出さなきゃ。

「あの…。ごめんなさい!昨日は…その…。ケイちゃんのバイト先でケイちゃんの知らない世界を知って。…お兄ちゃんを誰かに取られた気がして嫌だったの!」

 しばらくの沈黙の後にケイちゃんが私の腕をほどいて振り返った。

「初めて「お兄ちゃん」って呼んだな。」

 おでこにコツンと頭突きされた。イテテッとおでこをさすりながら言いにくかった言葉を口にした。

「だって…。私たぶん今まではファザコンだったんだと思う。今はブラコンなんだなぁって…。」

「ブラコンね。そこまでの愛をココから感じないけど?」

「あの…そうじゃなくって。つまり昨日も今日もごめんなさいって言いたくて。」

 ケイちゃんは両頬をむにっとつまんだ。

 顔を自然とケイちゃんの方へ向かされて目が合うとドキドキした。

 うぅ…やっぱり拓真の時とは何かが違う。

「遅いんだよ。可愛い心愛ちゃん。」

 パッと手を離してから頬に唇を寄せるとケイちゃんは2階に上がってしまった。

 …分かった。拓真と緊張感が違うの。

 ケイちゃんは色気だだ漏れだからだ。
私、妹なのにー!
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