サトウ多めはあまあまデス
 夕方になると同じ居酒屋さんがいいって言う男の子二人の意見で駅前のチーズに来ていた。

「昨日はゴメンね。ケイちゃ…ううん。お兄ちゃんなの。パパと同じ心配性で。」

「ビックリしたよなぁ。「俺?彼氏だけど?」だもんな。」

「うん。そうだよね。だからゴメンって。」

 会ってすぐに謝りの言葉を口にした私に拓真が一番の不満顔でいる。

 優ちゃんは事情を全部分かっていたから昨日の時点で拓真と陽太にも説明してくれたみたい。

 陽太は何も言わないでいてくれるけど拓真はまだまだ言い足りない感じ。

「心愛の父さんもそうだったけど、兄ちゃんまであぁなんて気持ち悪くね?しかも最近急に兄ちゃんだって現れたんだろ?禁断の恋ってやつ?」

 拓真の言葉に謝っていたことをすっかり忘れてしまう。

「気持ち…悪いって…何?」

「あ?だってそうだろ?親子や兄妹なのにこんな大きくなっても迎えにきてよ。しかも彼氏だなんて言って。その上、一緒に住んでるんだろ?どんな関係だよ。」

 ケイちゃんは…ケイちゃんはそんなんじゃない。

 雷と雨が苦手な私のためにバイト休んじゃうようなそういう…。

「心愛も案外あのキモい奴のこと…。」

「もうやめて!パパもケイちゃんもそんな人じゃない!」

 つい大声を出す私に店中の人の視線が刺さる。

 でもそんなこと構わない。

 拓真にわめき散らしそうな私を優ちゃんが静止した。

「待って。心愛ちゃん。今日はもういいから帰りなよ。ケイちゃん本当は今日も心配してるんでしょ?」

 優ちゃんになだめられて私は「でも…」と言いながら陽太に手を引かれた。

「俺、心愛の家まで送ってくわ。」

 強引に手を引かれて私と陽太はお店を後にした。
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