サトウ多めはあまあまデス
 そんな話をしていると玄関が開く音がしてパパへの秘密の相談はお終いだ。

「ケイちゃん帰って来たみたい。パパ、ケイちゃんとも話すでしょ?」

「そうだな。本当にパパからは何も言わなくていいのか?」

「大丈夫だから!」

「何が大丈夫なんだ?」

 ぬうっと背後から現れたケイちゃん。

 どんな登場の仕方!
 …あっコンビニの。
 そっか。頼んだから買って来てくれたんだ。

 ケイちゃんは手にコンビニの袋を持っていた。
 その中には見えないけど、きっとレアチーズが入ってるんだろうな。

「喜一さん。ご無沙汰しています。こちらは元気でやってます。」

 パパと業務連絡的な会話をするケイちゃんをぼんやりと見るともなく見る。

 あ、あんなところに小さいホクロあるんだ〜。そういえば兄妹ってほくろの位置も似たりするのかな。

 顎のラインにある俯いてしまうと見えないくらいの位置にあるほくろ。

「おい!聞いてるのか?ココ。」

「え?あ、はい。何?」

 ハッとして焦点を合わせると呆れ顔のケイちゃんがこちらを見ていた。

「なんだ。佳喜に見とれてたな?」

 茶目っ気たっぷりに言うパパに焦ってしどろもどろになってしまう。

「そ、そ、そんなわけないよ。」

 パパにそんな風に冷やかされる時が来るなんて…。
 というかケイちゃんはお兄ちゃんでしょ!見とれるとかおかしいから!

「誤魔化さなくても大丈夫だ。佳喜の顔の綺麗さは愛子似かな?」

 な…愛子って…。ママのことだよね!?

「え…何?ケイちゃんってママの子なの?」

「ん?佳喜はパパとママの子だろ?」

 ニコニコのパパ。
 黙って目を伏せているケイちゃん。

 何?どういうこと?

「じゃパパはそろそろ行かなきゃ。」

 行くってどこへ?と質問する暇さえも与えてもらえず、ブチッと通信は切れた。

「…………。」

「…こんのクソジジイー!」

 思わず叫んだ私の横でケイちゃんはクスクスと笑い声を抑えている。
 というか抑えているのが漏れちゃってる。

「ココって変わらないな。まぁここは家だからいいんだけどさ。」

 頭をグリグリされケイちゃんは行ってしまう。

 いえ。誤魔化されませんよ。

「ケイちゃん!待ってよ。さっきの何?」

「さっきのって?」

 ケイちゃんは全くもって気にしてないパパの「愛子似かな?」の言葉。
 ということはやっぱり…そういうこと?

「あ、そうだ。頼まれたレアチーズ買ってきたんだ。食べる?何か…こんな夜にコーヒー飲んだら眠れなくなるかな?お姫様は。」

 だからお姫様ネタまだ引っ張るんですか?ついでに子供扱いまでプラスされてるし。

 私の「大丈夫」って言葉にケイちゃんはニッコリした。

「ラテにしてあげるよ。」

 また私の頭をグリグリしてからキッチンへ行ってしまった。
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