サトウ多めはあまあまデス
「ヨシ?」

 道行く人がケイちゃんに声をかけてきた。

「やっぱヨシだよな?懐かしいなー。」

 背中をたたく同年代らしい男の人にケイちゃんは困惑顔だ。

 ヨシって…?

「なんだ女連れか。また向こうにも顔出せよ。」

 話しかけて来た人は私に会釈をして去って行った。
 ケイちゃんの顔が曇ったような気がする。

 なんだろう。もしかして…。

「ケイキをヨシキって読ませてヨシってあだ名にしてたの?」

「え?あぁ…。」

「大丈夫だよ。そのくらいでパパとママがつけた名前なのに!なんて怒らないよぉ。」

「…どうかな。ココは極度のファザコンでもあるからなぁ。」

 あ、良かった。また笑顔が戻った。
 どれだけ心配性なのよ。別にあだ名くらいいいのに。

「ブラコンも忘れないで!」

 はいはい。と言いながら私を引き寄せたケイちゃんはギュッと抱きしめて頭にチュッとキスをした。

「な…。ブラコンでも過度なスキンシップは必要ありません!」

「ハハハッお望みだと思って。」

 だから心臓に悪いってば!

 それに引き寄せられて肩に回されたままの手!このまま家に行くなんてまともに歩ける気がしないー!

「ココは元気になったな。良かった。」

 そうつぶやいたケイちゃんにまた心が温かくなった。
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