恋の神様におまかせ♪
空が暗くなってきて、花火の時間が迫っていた。
そろそろ移動した方がいいよね。
私は彼の手を引いて、栗山さんに教えてもらった場所に移動する。
「どこ行くんだ?」
「花火がよく見えるところ」
そう言うと、「へぇ、楽しみ」って彼が笑う。
私も、楽しみ、かも。
***
10分程歩いたところにあった廃ビル。
立ち入り禁止という貼り紙が壁に貼ってあるけど、扉や周りに鎖とか鍵はかかっていない。
栗山さん……こんなところ誰に教えてもらったんだろう。
「……え、ここ?」
「……そのようね」
二人してガラス張りの扉を見つめる。
中は暗くて、よく見えないけど入ってすぐのところに階段があって、階段の上には窓があるのか少し明るい。
……なにか出そう。
ちょっと薄気味悪いところだった。