恋の神様におまかせ♪
「へぇー……この子が」
にやっと笑って、私に見せつけるみたいに隼人にくっつくその女に、気付けば殴りかかっていた。
鞄が彼女の頭に当たりそうになる。
でも私の手を、隼人に捕まれて殴ることはできなかった。
「……なんで、」
「待てって!話聞けよ!」
なんで庇うの!?
女の前に立ちはだかる隼人に、怒りが込み上げる。
捕まれた腕を乱暴に振り払う。
「隼人のバカ!大っ嫌い!!」
「由紀!」
背を向けて走り出そうとする私の肩を掴む手を、爪で引っ掻く。
昨日の夜塗ったところのネイルが剥げちゃったけど、気にならないくらい腹が立っていた。
「触んないでよ!もうっ!あんたなんかとは別れる!!」
そう叫んだ瞬間、涙が零れ落ちた。
視界がぼやけて、隼人の顔が見えなくなった。
後ろで私の名前を叫ぶ声を無視して、家までがむしゃらに走った。