恋の神様におまかせ♪
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声が聞こえる。
由紀ちゃんの声だ。
由紀ちゃんが震える声で話してる。
「……稲穂、ごめんね………私のせいで……」
「……もう遅いから、今日は帰りなさい。目を覚ましたら連絡するから」
お母さんの声も聞こえる。
由紀ちゃんの覚束無い足音が遠ざかっていって、静かに扉がしまる音がした。
「……正さん」
「………」
お母さんがお父さんの名前を呼ぶ。
お父さんは何も言わない。
「……この子を、追い出すしかないわ」
「……でも、友達を思ってのことだよ?」
「それでも、力を使って人を殺しかけたのよ?」
「………」
人を殺しかけた……?
どう言うこと?
私、誰も殺してなんかいないのに。
「取り敢えず、この子が起きてから事情を聞いてみよう」
お父さんがそういうと、お母さんは頷いて、二人は部屋を出ていった。