恋の神様におまかせ♪




三十分ほど歩くと、全く知らない道に出た。

家からできるだけ離れたくて、知らない道を選んで進んだ。


もう家には帰れない、そう思った。




私は、隼人くんを殺しかけた。


隼人くんにとって唯一の心の支えだった由紀ちゃんを、私が奪ったから。


隼人くんは自分で、包丁で首を切って自殺しようとした。

今は病院で入院してると思う。


家を追い出されて当然だよね。

私は、人殺しだ。




目から涙が零れたけど、雨に紛れて、何処にいったかわからなくなった。










――ドンッ!


「うわっ!」


角を曲がったとき、自転車にぶつかった。

自転車に乗ったおじさんが、自転車ごと尻餅をついた。

私も、その場に力なく倒れた。


自転車に当たった腰から下が酷く痛む。

いつの間にか包帯を巻かれていた手首も、今の衝撃で傷が開いてしまった。


包帯に赤いシミが広がる。








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