恋の神様におまかせ♪
「………ごめんなさい……」
消え入りそうな声でそう呟くと、両手で自分の目を拭って涙を止めようする稲穂。
でも止まらないみたいで、拭っても拭っても涙は流れて、稲穂の膝や安物のカーペットを濡らしていく。
「……っ、」
そんな稲穂を見ていられなくて、思わず強く抱き締めた。
「もう泣くなよ……」
小刻みに震える体を抱き締める腕に力を込めると、稲穂は俺の胸に額をすり付けた。
そして横腹辺りの服を掴んで、鼻を啜る。
別に背中に回していいのに、と思いながら、できる限り優しく頭を撫でた。