恋の神様におまかせ♪
確かに、朝霧は受験の1週間前から髪を黒髪にしたし、化粧もかなり薄くなったから、女らしくなった。
モテるのも不思議じゃない。
なら……俺も動かなきゃダメだよな。
その日の放課後、5組を覗くと、自分の席で帰り支度をしながら友達と談笑している朝霧の横顔が見えた。
俺は小さく深呼吸をして、最後に一気に空気を吸い込んだ。
「まどか」
あんまり大声を出したつもりはなかったけど、思いの外声が通って、俺の周りは静まり返ってしまった。
恥ずいじゃん!黙んなよこん畜生!
ちょっと頬を染めながら教室に入って、朝霧の目の前に立つ。
一緒に話していた3人の女子は、俺のことを凝視したまま固まっていた。
等の本人は、ポカン、と口を開けたまま目を見開いている。
そんな朝霧の間抜け面に口端を上げながら、もう一度、口を開いた。
「……帰ろう、まどか」
「………っは、ははははいっっ!!!」
一瞬の間のあと顔を真っ赤にして立ち上がった朝霧に、また少し笑いかける。
未だ固まっている女子3人に軽く挨拶してから、朝霧の腕を引いて教室をあとにした。