恋の神様におまかせ♪
「ど、どうした!?」
まどかが俺に手を伸ばすから、その手を握って返事をする。
まどかは痛みで上手く話せないのか、口をパクパクと動かすだけで、声が出ていない。
読唇術なんて心得てない俺は、もどかしくて眉をひそめた。
まどかの瞳から涙がこぼれ落ちた。
「…そうたっ……わた、し………」
「んっ?」
「……わたし………わす、…れ……い、っで……!」
“忘れないで”?
「なに、いって……。もうすぐ救急車くるから!もう少しだけ頑張ってくれよ!」
いつのまにか涙が流れていた。
こんなに苦しそうなのに、俺はなにもしてやれない。
なんて、無力なんだ。
「…そうた……」
握ったまどかの冷たい指に、少しだけ力が入った。
俺も答えるように、手に力を込めた。
「……わ…、たし………しあ、…せ………に…………………」
“私”、“幸せに”?
「幸せに、なりたい?」
そう聞くと、ふるふると首を振った。
違う?じゃあどういう……。
まどかの言葉の真意を知りたくて、口を開く、と。
まどかは目を閉じて、体から力が抜けてしまった。