恋の神様におまかせ♪




「あの子ね、人の恋路の事しか頭になくて、自分の恋愛の事なんて全く考えもしてなかったの」


「好きとか嫌いとか、よく分からないって言ってたよなぁ。皆友達だから、皆大好きだって」


「そうそう。自分に向けられた糸も、自分から伸びる糸にも鈍感だったのよね。恋愛なんて、自分には関係ないって」


そうだったのか……。


確かに稲穂は、あのデートの日まで俺の気持ちには気付いてないみたいだったな。

全く意識してないわけじゃないけど、そうゆう目では見てない感じだったし。


「あなたの事全然知らないけど、きっととても素敵な人なんでしょうね」


優しい微笑みでそんな事を言われて、少し照れてしまった。

素敵って……。


「これからも、私の娘をよろしくお願いします」


「ふふっ、お願いします」


本日3度目のお辞儀に、俺は内心かなり動揺しながらも、しっかりと頷いた。











< 282 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop