恋の神様におまかせ♪
「あの子ね、人の恋路の事しか頭になくて、自分の恋愛の事なんて全く考えもしてなかったの」
「好きとか嫌いとか、よく分からないって言ってたよなぁ。皆友達だから、皆大好きだって」
「そうそう。自分に向けられた糸も、自分から伸びる糸にも鈍感だったのよね。恋愛なんて、自分には関係ないって」
そうだったのか……。
確かに稲穂は、あのデートの日まで俺の気持ちには気付いてないみたいだったな。
全く意識してないわけじゃないけど、そうゆう目では見てない感じだったし。
「あなたの事全然知らないけど、きっととても素敵な人なんでしょうね」
優しい微笑みでそんな事を言われて、少し照れてしまった。
素敵って……。
「これからも、私の娘をよろしくお願いします」
「ふふっ、お願いします」
本日3度目のお辞儀に、俺は内心かなり動揺しながらも、しっかりと頷いた。