恋の神様におまかせ♪
翌日。
「えぇぇぇえ!?」
朝っぱらから狭い我が家に稲穂の叫び声が響き渡った。
昨日の話し合いの結果、稲穂は家に帰す事になった。
やっぱり高校生だし、俺もまだ学生だから、保護者の元にいた方が色々と都合がいいだろう、って結論に至ったのだ。
俺も、その方がいいだろうと思ったから、今日中に稲穂を自宅に送り届ける事にした。
と言うのを話したら、さっきの叫びである。
「やだやだやだ!帰らない!」
「やだやだって……子供みたいな事言うなよ」
半べそかいて嫌がる稲穂の頭を撫でる。
俺だって返したくない。
ずっと、そばにいてほしい。
でも今生の別れってわけじゃない。
別に徒歩で片道30分くらいの距離だし、会いたくなったらいつでも会える。
メールもLINEも、いつでも出来る。
「会いたいって言うなら、いつだって会いに行くから……な?」
そう言って宥めても、稲穂は頑として首を縦に振らなかった。
……仕方ねぇなぁ。
「……稲穂、」
「なに、っん」