恋の神様におまかせ♪




夜。

俺は稲穂と一緒にタクシーに乗っていた。


稲穂はずっと赤い顔をして俯いている。

さっきまでの事を思い出しているんだろう。

……こっちまで恥ずかしくなるからやめて欲しい。


「……蒼太、」


「……ん?」


神社が目前に迫った時、不意に消え入りそうな声で名前を呼ばれて稲穂を見ると、まだ俯いてまま、ボソボソ小さな声で言った。


「ありがと、もう寂しくなくなったよ……蒼太、かっこ良かった」


えへへ、と照れたような笑い声に、意味を理解して赤面してしまった。


そりゃ良かったね。









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