恋の神様におまかせ♪
「あんたって子は!色んな人に迷惑かけて!どれだけ心配したと思ってるの!」
お母さんは目に涙を溜めながら、稲穂を怒鳴りつけた。
稲穂は叩かれた頬に手を当てながら、それを黙って聞いている。
「由紀ちゃんも高校のお友達も、必死になって探してくれてたのよ!?」
「……っ、」
「蒼太君にも迷惑かけて!甘えるのも大概にしなさい!」
俺は迷惑だなんて一度も思ってないんだけどな……まぁ、いいか。
今は茶々入れない方がいい。
確かに稲穂は勝手に家を出て、2ヶ月も音信不通だったんだ。
たくさん心配をかけただろうし、不安にさせた。
こればっかりは、俺は庇ってやれない。
「本当にっ、あんたって子は……っ!」
堰を切ったように、お母さんの頬に涙が伝った。
その瞬間、力強く稲穂を抱き寄せた。
「心配したんだから……っ!」
「っ、……おか、さん……」
お母さんが稲穂の頭を撫でると、稲穂もぼろぼろと泣き出してしまった。
「ごめん、なさい……ごめんなさいぃ……お母さんごめんなさい……!」
2人は抱き合ったままその場に泣き崩れて、泣き止む頃にはそのままの体勢で眠ってしまったのだった。