恋の神様におまかせ♪
見上げると青く澄んだ青空に、桜の花びらがひらひらと揺れている。
長いようであっという間だった高校3年間は、今日で終わる。
「終わっちゃったねぇ……」
卒業証書片手に頭の後ろで手を組ながら、由紀ちゃんはつまんなそうに呟いた。
皆も、少し寂しそうな顔で笑った。
「あっという間だったよね、ホントに」
「うん……花ちゃん、先輩と同じA大に行くんだよね?」
「そだよ~。春代ちゃんは短大だったよね?」
「うん。私、保育所さんになりたいんだ」
照れたように笑う春代ちゃんに、皆でエールを送る。
それに春代ちゃんは満面の笑みで返してくれた。
「由紀ちゃんは看護師でしょ?医大よく受かったよね~」
「どんだけ勉強したと思ってるのよ!見てよこのペンダコ!」
花ちゃんの言葉に、由紀ちゃんは数歩前に出て右手を突きだした。
確かに由紀ちゃんの中指にはポッコリとペンダコが出来ている。
毎日皆で勉強会をしたあとも、何時間も塾で勉強してたらしい。
すっごく頑張ってたから、受かったって聞いたときは本当に嬉しかった。
「早水ちゃんは教育学部でしょ?先生かぁ、めっちゃ合ってる!」
「ありがとう。頑張るわね」
早水ちゃんは嬉しそうに微笑んだ。
皆バラバラになっちゃうけど、きっとこれからもずっと一緒に居られる。
そう思える、最高の友達。
皆とは、今日で暫しお別れ。
「稲穂ちゃんは?」
「え?」
「稲穂ちゃんは、何になりたいの?」
春代ちゃんは、薄く微笑みながら私に目を向けた。
それに釣られて、皆も私をみる。
私はそれに、胸を張って答えた。
「私は―――――――」