恋の神様におまかせ♪




家に着くと、玄関でお母さんが笑顔で立っていた。

たらりと、頬に冷や汗が垂れる。

お母さんがにこやかな時は怒っているときだから。


「稲穂ぉ?遅かったじゃない」


「と、友達と話してて……」


「ふぅん?」


声が低い!

めちゃ怒ってる!

自然と体を縮こませる。


お母さんが何を怒ろうとしているのかはわかってる。

帰りが遅かったことじゃない。

その理由を、察したから怒ってるんだ。



「……稲穂、力を使おうとしてるんでしょう?」


「………」


お母さんから笑顔が消える。

私は図星をつかれて、上手い言い訳も浮かばなくて俯く。



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