教えて、うたくんのこと。
一週間後。
わたしは、廊下を早足で進んでいた。
(速っ……!!)
火曜日、五時間目の前の休み時間。
教室から靴箱へ向かう、うたくん。
そんなうたくんを全力で追う、わたし。
(……やっぱり保健室には向かってない)
なぜそんなにはやいの。
うたくんの足が……長いから?
たしかにわたしはチビだけれども。
それでも、速すぎやしませんか。
「見失っちゃった……」
おかしいなぁ、こっちに歩いてきたと思ったのに。
「っていうか。ここ……」
目の前にあるのは、裏門。
まさか、学校の外に出て行ったの?
裏門の鍵は特別なことがない限り閉められている。
つまり今は閉まっている状態なのだけれど、乗り越えられない高さでもない……。
まわりを見渡してみると、ひと気がない。
――いってみるか。