教えて、うたくんのこと。
「なぁ」
「ほぇっ……?」
急に距離をつめられてビックリしたら変な声が出た。
綺麗な顔で覗き込まれて鼓動がはやまる。
「俺になんの用?」
「……!!」
「話でもあるわけ」
「いや、それは、えっと……」
「もしかして告白されんの?」
はい……?
「……なわけないか。柏木、ほとんど関わりないし」
うたくんが、わたしから離れる。
ビックリしたぁああ!!!
「う、うん。告白では、ないよ」
うたくんといえば、クラスの人気者で。
だけど、どこかミステリアスで。
わたしとは関わり合いがなかったのに。
今、こっちを見て話してくれている。
この調子なら、聞けるかな。
「……宇津木くん」
「うたでいいよ」
「……! そ、それじゃあ……あの、うたくん」
「なに」
「サボってるよね」
「…………」
「体調不良じゃ……ないよね。授業」
「もしかして頼まれたのか?」
「え!?」
「俺を授業に連れてこいって」
まさか。違うよ。
「これは、わたしが勝手にしたことで」
「そうかよ」
「……どこ行くの?」