教えて、うたくんのこと。


「なぁ」

「ほぇっ……?」


急に距離をつめられてビックリしたら変な声が出た。


綺麗な顔で覗き込まれて鼓動がはやまる。


「俺になんの用?」

「……!!」

「話でもあるわけ」

「いや、それは、えっと……」

「もしかして告白されんの?」


はい……?


「……なわけないか。柏木、ほとんど関わりないし」


うたくんが、わたしから離れる。

ビックリしたぁああ!!!


「う、うん。告白では、ないよ」


うたくんといえば、クラスの人気者で。

だけど、どこかミステリアスで。


わたしとは関わり合いがなかったのに。

今、こっちを見て話してくれている。


この調子なら、聞けるかな。


「……宇津木くん」

「うたでいいよ」

「……! そ、それじゃあ……あの、うたくん」

「なに」

「サボってるよね」

「…………」

「体調不良じゃ……ないよね。授業」

「もしかして頼まれたのか?」

「え!?」

「俺を授業に連れてこいって」


まさか。違うよ。


「これは、わたしが勝手にしたことで」

「そうかよ」

「……どこ行くの?」

< 6 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop