教えて、うたくんのこと。
「さあ」
うたくんが、まっすぐ私を見てそういった。
「教えて……くれないの?」
「知りたいのか?」
「あ、うん……どこに、いるのかなって……」
「『どうして皆瀬の授業を抜けるか』じゃなくて?」
「え……」
「まー、どっちでもいいけど。そんなこと気にするんだな」
「気になるよ。連続記録更新中。これで五回目だよ?」
「俺のこと観察しすぎ」
「なっ……別に……観察とかしてるわけじゃない」
けれど不自然だったかな。
たいして仲良くもないクラスメイトから気にかけられても嫌……だろうか。
うたくんの目から強い意志を感じた。
それがなにかはわからない。
拒絶の意かもしれない。
または――。
「もう行けば」
「なんか……ごめん。そろそろ授業始まる頃かな」
結局、謎は解けそうにない。
これ以上わたしは
うたくんに踏み込むことができないの?
「チャイムなら、とっくになってるけど」
「ええ!?……いつの間に?」
生まれて初めて授業をサボってしまった。
「門よじ登って焦ってたとき。まあ、ここにいるとチャイム聞こえにくいからな。にしても……ははっ……マジでマヌケだったな。さっきの柏木」
「思い出して笑うのやめてくれないかな」
というか、うたくんて、こんなにイジワルな人だったの?
でも。
「ムービー撮ってればよかった」
「絶対にダメ……!」
「パンツ丸見えだったなからなぁ」
「なっ……え、ほんとに!?」
「いちご柄の」
「ちがうよ赤の水玉だよ!」
「へえ。そんなのはいてんだ。割といい線いってるな俺」
(……見てないのに見たって言ったな?)