冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
「採用されてからわたし、由佐さんへの気持ちは忘れようって思っていたんですけど、由佐さんがいちいちからかってくるから余計忘れられなくて……! だけど、上司としてわたしの言ったことを信じてくれたり、優しさを感じることもあって、由佐さんに改めて惹かれはじめたんです。……そういえば、からかったことを謝ってくれたことがありましたよね。あれ、すごく意外でした。すぐまたからかってきましたけどね」

「面白がっていたけど、嫌われたかったわけではないから。すごい勢いで睨まれたし、一応謝っておこうと思ったんだよ」

ばつの悪そうな彼に笑みをこぼすと、ムスッとした視線を向けられた。
いいよね、たまには。わたしが照れたりしていると、由佐さんだって平気で笑うんだから。

「……俺も、なかなか君に正直になれなかった。好きになるわけがないって言われたこともあったし、最初に突き放しておきながら自分から君にどうやって近づいたらいいのか、考えて距離をとろうと思ったときもあったし」

からかいながら笑っていたかと思えば『関係ない』って突き放したりして、なにを考えているのだろうって思っていたけど、もしかしてそういう気持ちがあったからなのかな? 由佐さんも、正直になれなかったんだ……。
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