冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
「由佐さんは、わたしのどんなところをいいなって思うんでしょうか」

部屋のソファに座ってテレビを見ている由佐さんの隣で、わたしは彼の横顔をじっと見ながら尋ねた。金曜日の夜、明日は仕事も休みなので今日はこのまま由佐さんの部屋に泊まるつもりだ。

質問をされた由佐さんは、どうして急にそんなことを訊くんだ?と言いたげな顔をしてわたしのほうを見る。
そしてしばらく目をぱちぱちとさせていた。

「由佐さん、なんで答えてくれないの」

「……急に言われると答えづらい」

答えづらいとは、どういうことか。わたしのことを好きだと言ってくれた由佐さんは、どこをいいなと思って好きになったのか、確認したいのに。

「わたしのいいところなんて、ないんでしょうか」

「いや、そういうわけじゃ……大体、なんでそんなことを急に訊いてくるんだよ。愛情確認か? なにかやましいことでもあるのかよ。男に誘われて、断れなかったとか?」

冗談っぽく言ってきた由佐さんに対して、ドキリとしたわたしは唇を閉じて固まる。誘われたわけではないが、浜野さんの『いいなと思っていた』という言葉が頭に浮かんでしまった。
そんなわたしの態度をあやしいと思ったのか、由佐さんが眉を顰める。

「おい……どこの男に誘われたんだ? まさかうちの課のヤツじゃないだろうな」

「……はい!? ち、違う、誘われてなんかいないし、営業課の人も関係ないです! ちょっと、他部署の人に気になってたというようなことを言われただけで……」

「……ふうん?」
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