冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
「わたし先にサンドイッチ食べてます! 美味しいからここのお店ひとりでもよく来るんですけど、まさか三坂さんに会うなんてびっくりしたし、その流れでこうして四人でお昼休みを過ごすなんて」

マイペースに微笑んでいる夏穂子は、周りの女性客が興味深げにこちらを見ていることに気づいていても無視できるタイプだけれど、わたしはなんだか落ち着かなくてそわそわしてしまう。
美形の男がふたりだもん、二倍目立つよね。サンドイッチを運んできてくれた店員さんも、やっぱり顔が赤かった。

「これ食ったら俺、外に出ないといけないんだよ」

「あっ……由佐さん、お忙しいんですね。すみません、お昼休みだからって呼んでしまって……」

気遣った夏穂子に、由佐さんの視線がすっと向く。
これは、『本当、こうやって呼ばれるのは面倒だ』と言いそうだ。そう思いながら由佐さんを窺っていたが、彼はふっと柔らかく笑って目を伏せた。

「いや、お腹が空いていたしちょうどよかった。そういえば、夏穂子さんには純の店で会って以来ですよね。あのときはお客様として接していたけど、今は違うから普通でいい?」

「はい、どうぞ!」

ちょっと待って、わたしと再会したときと態度が全然違う……! その穏やかな笑みは、完全に作り物で営業スマイルじゃないか!
あまりの衝撃に口が開いたままになってしまっているわたしに、夏穂子はコソッと「由佐さん、紘奈が言うほど冷たくないじゃん」と言ってきた。
いやいや、違う、夏穂子騙されているから!
< 53 / 153 >

この作品をシェア

pagetop