【未完】入江くんは優しくない。
これは、ここで割って入らないと私の命が危ぶまれるのでは。
うーん、女子の恨めしい視線と入江くんの悪態。
この後に待っているであろう二つの選択を天秤にかけた結果。
「あ、入江くん。ノート切れたから今日買いに行くって言ってたよね。お店教える約束だったでしょ?」
はい、誰もが予想しました、寸分狂わず想像通りの入江様が勝利しました。
なんとも下手くそな嘘でしょう。
文具買いに店教えるって、普通ないでしょーが。
し、仕方ない……ここは私の演技力にかかっている!
ヒクつきそうな笑顔でさも確認を取ってみせる私を煩わしそうな、というか憎々しげな目で見る女子は、なかなかの技量の持ち主らしい。
『誰だよあんた、邪魔すんな』というマジな目。
加えてちゃっかり入江くんの死角で私を睨みつけてます。
あ、死んだわ私。
凛子こわぁーい!キャッ。