【未完】入江くんは優しくない。
……我ながら気分が悪くなりそうになったものの、なんとか持ちこたえる。
冗談はやってみるものじゃないな、うん。
私にはとことん向いていないらしい。
とまあ、1人漫才らしきやり取りはさておき。
本題に……
「ああ、そうだった」
と、現実に戻った私の肩を掴んで引き寄せた入江くん。
足がもつれそうになった私をしっかり支えてくれる、らしくない優男ぶりを発揮!
「ちょ、なっ…ーー」
「ということで、悪いけど凛子が優先なんだ。ごめんね」
……だ、誰ですか貴方っ!!
嘘でも私の名前を呼ぶような人じゃないのは知ってますけど!?
はっ、もしや入江くんの偽物……!!
なんてことを考えていると、今の今までにこやかぁ〜に笑っていた入江くんが私を見て一言。
「馬鹿には荷が重すぎたか」
「ふぐぉっ!」