慰めのDISCO
9時になり、バイト先を出ると、燐が待っていた。
「おつかれさん。ほら、帰るぞ」
「うん」
燐に腰を引かれ、歩き出したときだった。
「ルウコ!」
振り返ると、修斗がこっちに走ってきていた。
普段こんなことは無かったのにな、と不思議に思っていると、修斗はよほど急いでいたのか息を切らしていた。
「どうしたの?」
「これ、忘れて帰ってたから」
それはボールペンだった。いつもバイトで使ってるやつ。
今日は急いでたから、落としたのかもしれない。
「あ、ごめん。ありがと!次のバイトでも良かったのに」
「前に親からもらったもんだって言ってたから。大切な物なんだろ?」
確かにこれはマスターからもらった物だった。でも、それを話したのは半年以上前に一回だけ。それを覚えててくれたのは驚いた。