慰めのDISCO
「おい、これどうした?」
燐は私の手首を掴んでいた。
まだ赤くて、爪痕が残っている。
私は燐の手を振り払って、隠すようにさっと上から手を乗せた。
「なんでもない」
「何でもないわけねぇだろ。誰にヤられた?」
「なんでもないってば」
「何でもないのに、こうなんのかよ」
「深雪とちょっと喧嘩したの。それだけ」
明らかに無理な言い訳だ。それは女の私が一番分かっている。女でこんな跡は残せない。
それでも私は曲げるわけにはいかない。