霞村四丁目の郵便屋さん
「あの……私も、なの。また教科書見せてもらってもいい?」


みやびの言葉を聞いた純一が、口をあんぐりと開け俺にチラッと視線をよこす。


「あぁ、もちろんいいよ。でも、みやびは残らなくてもいいんじゃ……」


今日初めて来たんだから、宿題忘れというわけじゃないだろう。


「ううん。前の学校と進み方が違うの。今やってるところはまだ習ってなくて、皆に追いつかないといけないから」

「おっ、俺も残ろうかな」

「純一は帰れ」


手のひらを返したような純一の態度に、みやびはクスッと笑う。
彼女が声を上げて笑ったのはこれが初めてだった。


「チェッ、ついてないの」


純一はしぶしぶカバンを持ち、何度も俺たちの方を振り向きながら教室を出ていく。

居残りは俺たちを入れて六人。
俺と純一が入れ替わったくらいで、大体いつものメンバーだ。
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