霞村四丁目の郵便屋さん
ヤバ。宿題終わらなかった。純一のせいだ。


「さとこじ、今日もなかなかイケてるじゃん」


我がクラスの減らず口、恒川(つねかわ)が、さとこじの頭を指差すと、一斉に笑いが起こる。


「イケてるだろ。てことで、転校生だ」


はっ、霞村の女子は、うちのクラスだったのか?
俺が驚いていると、純一がうしろを向いてまたニタッと笑った。

だからさ、さっきからなんなんだよ。

おそらく、俺の隣の席が空いていて、そこに転校生が来るんだろうと言いたいに違いない。
三ヶ月前まで遥(はるか)が座っていたその席に。


「さとこじ、男?」


やっぱり口を挟むのは恒川だ。
恒川は思ったことは全部口に出てしまう。


「いや、女子だ」

「やったー」


『女子』と聞いて、教室のあちこちから女子生徒の甲高い声が上がる。
ただ、その中に「よっしゃ」という恒川の声まで混ざっていて、不快になったことは言うまでもない。
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