霞村四丁目の郵便屋さん
「ごめん」


俺が一応謝ると「全然」とはにかむ彼女は、目を伏せてしまう。


「さて、昨日の宿題集めろ」

「あ……」


さとこじは英語の担当。
今日は一時間目が英語だった。

まずいな。まだ半分しか終わっていない。


「忘れたヤツは放課後居残りすること」


純一はちゃっかりスカスカのプリントを提出している。


「お前、あれでいいのかよ」

「しょうがないじゃん。俺、バカなんだから。瑛太はダメだぞ」

「なんでだよ」


理不尽な答えを返す純一に呆れながらも、居残りを覚悟した。


「はぁ」


今日の天気予報はこれから雨。
傘を持ってこなかったから早く帰りたかったのについてない。

ふと窓の方に視線を移すと、みやびも同じように外を見ていてなんとなく気まずくなった。


もちろん、俺のことなんて少しも気がついてはいないんだけど、意識しすぎてしまうのは、やっぱり遥を思い出してしまうからだ。
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