霞村四丁目の郵便屋さん
「田之上」
「はい」
そのとき突然、さとこじに名前を呼ばれ「柊に教科書見せてやってくれ」と指示された。
どうやらみやびが今まで使っていた教科書と違うらしく、新しいものが間に合わなかったらしい。
「ごめんね」
か細いみやびの声にドキッとしてしまった俺がなにも言えずに教科書を差し出すと、「ありがとう」とはにかむ彼女を見て、いっそう鼓動が速まってしまい、慌てて視線をさとこじに戻した。
その日は一日みやびに教科書を貸すことになった。
そのうち少しずつ言葉を交わせるようになり、「俺も霞村なんだ」とカミングアウトすると、少し緊張気味だったみやびの頬に赤みが差した。
「あれあれあれ、瑛太くん、居残りですか?」
珍しく居残りを逃れた純一はニヤリと笑って俺をからかう。
「うるさいな。さっさと帰れ」
俺がふてくされて純一にそう言いかえすと、みやびが申し訳なさそうに口を開く。
「はい」
そのとき突然、さとこじに名前を呼ばれ「柊に教科書見せてやってくれ」と指示された。
どうやらみやびが今まで使っていた教科書と違うらしく、新しいものが間に合わなかったらしい。
「ごめんね」
か細いみやびの声にドキッとしてしまった俺がなにも言えずに教科書を差し出すと、「ありがとう」とはにかむ彼女を見て、いっそう鼓動が速まってしまい、慌てて視線をさとこじに戻した。
その日は一日みやびに教科書を貸すことになった。
そのうち少しずつ言葉を交わせるようになり、「俺も霞村なんだ」とカミングアウトすると、少し緊張気味だったみやびの頬に赤みが差した。
「あれあれあれ、瑛太くん、居残りですか?」
珍しく居残りを逃れた純一はニヤリと笑って俺をからかう。
「うるさいな。さっさと帰れ」
俺がふてくされて純一にそう言いかえすと、みやびが申し訳なさそうに口を開く。