花が咲く日まで
「形原!!!」


後ろからバタバタという足音が聞こえる。


「なんでこねーんだよ!花壇に」


菊地くんがあたしの手をつかむ。


触れ合う部分が熱い。


「...約束なんてしてない」


あたしは手を振りほどこうとする。


「毎日きてたのにこないなら言うべきだ」


なんて息切れしながら言う。


あたしを待ってたのかなって
嬉しく思う。

そういうこと思わないって
決めたはずなのに。


「最初迷惑そうだったくせに」

「最近そんな迷惑そうにしてねーだろ」

「もう行かないもん」


あたしは手をつかまれたまま歩き続ける。


「てか止まれよ」

「いやだ」


止まったら気づかれそうで。
顔を見られたら気づかれてしまいそうで。


でも、手をつないでるみたいで嬉しくて。
考えと気持ちは裏腹で。

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