Mirror World
「え?」
誰かの声が聞こえた。空耳なんかではなく、はっきりと。
辺りを見渡しても、もちろん誰もいない。
____もしや、幽霊?
気味が悪い。
全身がぶわっと鳥肌が立つ。
『ふふ、どこ見てるの?こっちよ、こっち』
わたしは声のした方へ振り向く。
____鏡だ。
わたしがさっきまでずっと見つめていた鏡だ。
鏡をじっと見つめてみても、部屋と自分の姿しか映っていない。
幽霊らしきものは映っていなかった。
『ここよ』
鏡の中のわたしが笑った。