君が残してくれたもの
「洋楽?英語、苦手だからわかんない。なんて言ったの?」


振り返って尋ねた私に、微笑みかけると、桜樹は私の目を見たまま…


「だから今日から永遠に私はあなたのもの。ただ優しく私を愛してくれれば、私はあなたに全てを捧げる」


夕陽があたった桜樹がとても綺麗で、時が止まりそうだった。

言葉が出ないまま、桜樹の視線に捕まったまま…私は息をするのも忘れていた。

と、その時窓から風が吹いた。


桜樹の視線から外れた瞬間。

やっと体が動いた。


私はとっさに、


「あ、今日…特売デーだった。じゃ、じゃあね…」

桜樹が顔も見ないままで、立ち上がった。

そのまま、音楽室から飛び出した。

< 118 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop