君が残してくれたもの
出た瞬間に、屋根の下に引き戻された。

「ダメだって、言ってんじゃん。見せたら、ダメ!」


怒ってる…

海晴くんの顔、赤いよ?

怒られてるのに、口元が緩んじゃう。

嬉しくてごめんなさい。

私もう鼻血出そう…


「はい…」


しおらしく返事をすると、私は、海晴くんの背中に守られながら久保川家へと歩いた。

久保川家は、学校から近い住宅地にあった。

なんだかワクワクしちゃう、迷惑けけてるというのに。

うちとは違う、兄弟やお父さんのいる雰囲気がにじみ出ている家で、温かさを感じた。


鍵を開けると、


「あ、誰もいないから。姉ちゃんも、まだ帰ってなさそうだし」


そう言って、どうぞ、とドアを開けてくれた。


「お邪魔します」

そう言って中に入ると、なんとなく海晴くんの匂いがした。

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