君が残してくれたもの
「あの、ありがとう…」


リビングのソファで座っていた海晴くんに声をかけると、くるっと振り返った海晴くんがむせた。


「ゴホッ…あ、そっか。なずなちゃん、こんな小さかったんだ…」


心なしか顔が赤い?


私も思わず赤面。


しばらく考えていり海晴くんをジッと見ながら、待っていると、

「えっと。姉ちゃんの服なんか探してくる。これじゃ、帰れないよな…」


そう言って、2階へ駆けあがった。

豪快に駆け上がるのとか、男の子って感じでドキッとなる。


しかも、姉ちゃん、て呼ぶんだな。

海晴くんの口から出る姉ちゃんという言葉に新鮮さと、なんだか可愛らしさが混ざる。


「勝手に借りて大丈夫なの?」

そう、声をかけると、


「ばれたら、ボコボコにされるけど。大丈夫」


ボ、ボコボコ?


ちょっと待って。

どんなお姉ちゃんなんだろ…


階段を駆け降りてきた海晴くんが、


「これならいけると思う」

お姉ちゃんの服を渡してくれた。


「本当に、いいの?私、これでも、いいよ?」


ブカブカの袖をもう一つ折りながら言った。


「俺が良くない…いいから、着替えてきて」

海晴くんの言葉。
なんかいちいち、ドキドキしちゃう。


今日、ちょっと変だよ…

というか、ブラ透けてる私がが一番変だな。


真っ赤な顔で洗面所に入ると、鏡の私は想像以上の赤さで恥ずかしさ倍増。


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