君が残してくれたもの
夏の初めて
海晴くんの家で着替えを貸してもらった、あの雨の日が最後の大雨で空はすっかり夏空。

そして、待ちに待った夏休みが近づいて来た。


「ね、夏休み何する?」

教室では、樹里が珍しくハイテンション。

そんな樹里に影響されて、私までテンションが上がってくる。

「うーん、夏休み?。やっぱかき氷かなぁ」


私が目を輝かせていると、


「ちょっと。なんで、かき氷?夏祭りとか、花火とかあるでしょうに」


はあっとため息をつくと、いつもの眉間のしわ。

私の夏休みは、かき氷なしでは語れないのに。


「カキゴオリ?」

後ろから会話に入ってきた桜樹を振り返って見ると、ぽかんとした顔で首をかしげている。


「うん、かき氷?え?まさか知らない?」


私が驚くと、


「や、なんかさ。外国?にいたんだよね?帰国子女?」

樹里が私に説明してくれた。

だから、かき氷知らないのか…


「じゃあ、浴衣とか知ってる?」

得意げに聞くと、

「あ、それは知ってる。祖母から聞いたから」

あっさり返され少し恥ずかしい。
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