君が残してくれたもの
そんなわけで、初めて尽くしの夏が始まった。

みんなが同じことでワクワクすると、1人のワクワクよりずっと楽しい。


「明日、暇?さっそく、かき氷パーティしない?」

樹里が楽しそうに笑う。

ていうことは、みんなが我が家に来るってことか…と、思うと途端に緊張してきたかも。


私は無意識に姿勢を正した。


「俺、ちょっと遅れるかもしれないけど、絶対行くから」

海晴くんの絶対にうけるわたしたち。


「絶対って…重いわ!」


樹里がつっこむと、海晴くんが、

「いや、俺はいつだって本気だからな」

と、本気っぽい顔で樹里に言い返した。


「だから、もう、暑苦しい」

樹里のドン引き顔に、ますます私と桜樹は笑った。


海晴くんは、遅れて来るのか…

何か用事でもあるのかな。


「僕は大丈夫。部活からそのまま行くよ。なずなは大丈夫?」


桜樹はこういう気づかいをしてくれる。

優しいんだよね。


「うん、大丈夫」

大きく頷くと、なんだかみんな笑みがこぼれる。

夏休み、楽しいことがたくさんあるといいな…

なんて、私、のんきに笑ってた。

そんな私たちのことを、傷ついたり、面白くないと思ってる人がいることも、知らずに笑ってた。
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