君が残してくれたもの
と、その時。

グイッと腕を引っ張られた。
パッと振り返ると、久保川くんが私の腕から男の子を抱き上げて自分の肩に乗せた。


私の顔見ると、ニッと笑って、


「おい、この子の母さんどこだよ?泣いてるぞ」


久保川くんの声で一同動きが止まる。


視線は一気に久保川くんと男の子に注がれて、ざわざわし始める。


そんな中、


「たくみ!」


向こうの方で、髪を団子にした小柄なお母さんらしき人が声をあげた。


「ママ!」


お母さんを見つけて男の子は、やっと安心した様子で大声を上げて泣いた。


久保川くんが歩く道をみんなが避けて作り、親子の感動の再会。


「ありがとうございます!」


お母さんはおだんごを揺らしながら、何度も頭を下げて、その後男の子を抱き上げて頬ずりした。


「ごめんね、たくみ。怖かったよね。ごめんね」


みんなの胸がじーんとした時。


「ラス1ゲット!」

「へ?」


声の方へ目を向けると、最後の1パックを持ってVサインの久保川くんが立っていた。

無邪気な顔で…
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