君が残してくれたもの
凍らせておいた大きな氷を出してくるだけで、大興奮の二人に、私はケラケラ笑った。


いつも一人だった。

祖母たちが引っ越した後、私は夏休み、年末年始、母の仕事があれば私は一人。

祖母が恋しかったのだろう。

かき氷を一人で作って食べることがいつからか、夏休みの一人の過ごし方だった。


でも、今日はこんなににぎやかで…


「なずな、このかき氷器。古そうだけど、大切に使われてきたんだねぇ」


桜樹がテーブルに頬っぺたをつけて、かき氷が出てくるのを見ながら言った。


「そうかな…」

私にとっては、とてもうれしい言葉だった。


「古いものを大切にこんなにきれいに使うなずなのそういうとこ、すごく好きだな」


私の手が止まって、顔がだんだんと赤くなっていくのがわかる。
わかるからこそ、また熱くなってしまう。



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