君が残してくれたもの
「帰国子女なんだって」


私が言うと、へえ…頷いたと思うと、


「おいしいよ。食べて食べて」

フォークとたこ焼きを桜樹に渡している。


母のこういうとこ、なんで遺伝しなかったかな…

後ろ向きな気持ちに追い打ちをかけるように、


「お母さん、美人ですね」


海晴くんが感心したように言うと、


「あら、いい子ね。たこ焼き1個追加しちゃう」


そう言って、海晴くんが持ってる容器にたこ焼きを1つ入れた。

なんか、面白くない!
私がゴールとしてる場所に、母がひとっ飛びで行っちゃったみたい…


「もう、ママ!私より打ち解けないでよ!」


半分本音だけど、笑って冗談にした。


みんなも笑って、楽しくて。

ずっとこのままがいい、そう思った。

このままずっと、みんなと一緒にいたい。

過ぎていく時間が愛しくて、時が止まればいいなんて…久しぶりに思ったかもしれない。


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