君が残してくれたもの
夏休みに入ってすぐにある、夏祭り。

私は、この日がただただ楽しみで仕方なかった。


母はもっと張り切っていて…


「どっちなの?」


「は?」


「だから、海晴くんと桜樹どっちが好きなの?」

はい?

固まる私の頬っぺたを突っついて、


「それによって、浴衣の柄変わるから」

母は本気だ。


「いや、いや…どっちって、私まだ好きともなんとも話してもないし」


しどろもどろになる私を、じっと見てニヤリと笑い、


「まだ、ね…」


うんうんと頷いた。
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