君が残してくれたもの
昼過ぎにあっちゃんがやってきた。


あっちゃんはいつもどおりの、レゲエが似合うスタイルで、でも、とってもいい香りをまとってやってきた。


「お、これが浴衣?へえ、いい色だね。なずなにぴったり」


浴衣とあっちゃんのコラボ。

ミスマッチ過ぎて、逆にいい。


あっちゃんに着つけてもらいながら、鏡越しにあっちゃんのしぐさをじっと見る。


「ふっ。そんなに気になる?」

あっちゃんは笑いながら鏡越しに話しかけた。


「だって、あっちゃん。女子力高過ぎ」


私の言葉にふき出して、


「は?だとしたら、世の男性はよっぽど見る目がないのかねぇ」


グッと帯を締めながら、鼻で笑った。


「彼氏、いるじゃん。いいじゃん」

私の言葉に、ため息をついて、


「ああ、あの放浪癖の男のこと?」


そっけなく笑った。


「今は?パリ?ドイツだっけ」


「今は、スイス」


あっちゃんの彼氏は、カメラマンで写真を撮るために世界をあちこちしている。

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