君が残してくれたもの
「今日は?男と行くの?」


あっちゃんはニヤニヤしながら私の顔を見る。


「まあ、男の子もいるけど...」


目がつい泳いでしまう。


「あ、この前の店に来た子?」


桜樹のことだ。


「うん、それともう一人」


「ん?もう一人...」


あっちゃんは驚いた顔。


「あと、樹里も一緒なの」


「へえ。で?どっちが好きなの?」


母と友達なだけあるわ。

あっちゃんの質問に、私の目はさらに泳ぐ。


「どっちって、そんなのわかんないよ」


焦って答える私に、


「二人とも好きなの?欲張りだねぇ」


ふふっと笑われた。

大人になったら、私もこんなふうに笑えるのかな…

恋話とか…できる日が来るのかなぁ…



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