君が残してくれたもの
「だから、違うって」


そう言った私の肩に手を置くと、


「そういう時、答は出てんの。自分の心の中に、答はあるんだよ」


そう言うと、私を椅子に座らせて髪の毛を結ってくれた。



「はい、出来上がり」


鏡を見ると、ふわっとまとめられた髪の毛に花が挿してある。


「あっちゃん、すごいよ。すごすぎるよ」


感動している私に、


「でしょ?」

と、にっこり笑った。


「ありがとう」

鏡でいろんな角度から見ていると、


「なずな、時間大丈夫なの?」


あっちゃんが時計を指さしている。


「あ、やばい」


バタバタし始める私に、


「慌てない。こけるよ?」


あっちゃんの声で、冷静になる。


「行ってくる」


「はいはい。気を付けて。私はこのまま椿が帰ってくるの待つから。今日は、女子会」


そう言って、持ってきたシャンパンを見せた。



< 143 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop