君が残してくれたもの
すると、妙に冷静になってきて、ああ、海晴くんも同じなんだ…と、少し安心した自分がいた。

扉が開いた瞬間、2人で立ち上がってより強く手を握った。

すると、車いすに乗った桜樹が出てきた。

「大丈夫?」

駆け寄ると、

「うん、今日は一応入院だけど。明日には帰れるって…悪いけど、明日迎えに来てくれるかな。他に頼める人いなくて。それに、話したいこともあるんだ」

桜樹が話し終わると、看護師さんは車いすを押して、病室へ連れて行った。


手を繋いでいることに気付いて、お互い慌てて手を放した。


「ご、ごめん」

海晴くんが謝ると、

「ううん、ありがと。不安が和らいだから」

そう言って、海晴くんを見た。

「そっか、なら…よかった」

私たちは病院を後にした。
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