君が残してくれたもの
「みんな、ごめんね。来てもらって」

肘に包帯を巻いている以外は、元気そうな桜樹がいつもと変わらない笑顔で立っていた。


「ちょっと!だから自転車は危ないって言ったでしょ?だいたい、いつもぼんやりして危なっかしいんだから。わかってる?」


樹里の御説教タイムが始まり、桜樹はそれでもニコニコしているだけで、あまりわかってなさそう…


「みんなに、話さなきゃならないことがあるんだ…」


そう言って、少しだけ寂しげな顔をした。


「俺も…桜樹に聞きたいことがあるよ」


海晴くんが言うと、


「うん、きっと…同じだと思う。僕が話そうとしてることと、海晴が聞きたいこと」


真面目な顔で答える桜樹を見て、私達はただ事ではなさそうだと思った。

何かしら、決意を感じる雰囲気だったから。
< 159 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop