君が残してくれたもの
「本当に、俺ダメだって思ってた…なずなは桜樹のことが好きだと思ってたから」

私にも、恋がわかってなかったから…


「海晴くんは、『俺』だよね」


でも、記憶戻るまでは僕、って言ってた。


「どこか無意識に桜樹になろうとしてたのかも…なずなの気を引きたくて」

ヤダ、ちょっとぉ。
嬉しいこと言ってくれるし。

泣けちゃう…


海晴くんの顔を見たくて、少し顔を上げた。


「だめ、くっついてて。透けてるんだよ…ほんと、目が離せないよ」


そう言うと、


「好きだよ」

耳元で海晴くんの声が響いた。


私の恋が始まった。

重い扉を開いて、新しい世界が広がる。


もう、狭い部屋には戻れないな…
だって、海晴くんの体温は心地いいんだもん。


あ、また下心でちゃった…
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