君が残してくれたもの
「これ見たときさ、鳥肌立ったから。ここに写ってんの自分じゃないんじゃないかって、疑ったし」


いや、今まさに私がその状態。

鳥肌が立つ腕をさすった。


「僕が忘れているだけなのかなぁって思って、なずなちゃんのこと学校で見てたけど、まったく僕と接点ないし。話しかけても来ないし」


「だって今までそれが普通だったわけでしょ?」


私たちは、友達ではない。

むしろ、久保川くんはやや遠い存在。

それが、どうしてこんなに仲よさげに笑っているの?



「でも、この画像。僕らめっちゃ楽しそうじゃない?」


「そう、それ。私も思った」

おどけた顔の久保川くんと奥歯まで見えそうな大きく開けた口で笑う私。

確かに楽しそうなのだ。

こんな顔、私最近してないし。

一体どうやったらこんな画像が?

私の家に来ているはずなのに、そんな記憶1つもない…


だいたい、これはいつ撮ったものなんだろう。


「夏休み中…?」

私の言葉に、海晴くんも頷いた。


「たぶん、そうだと思う」


制服を着てるのはメロンシロップの彼だけで、私も久保川くんも私服だ。

この服は間違いなく私の服だ。
< 21 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop