君が残してくれたもの
かき氷と空白の時間
「夏休み、私達会った...のかな?」

どんな質問だと、自分に突っ込みたくなったが、もはや自分でも何を言ってるのかわからない。


私の顔をじっと見て、

「僕の記憶が正しければ、会ってないはずなんだけど」

と、冷静な返事が返ってきた。


ですよね。

一体何がどうしてそうなっているのか。

答えが出せない私たちは沈黙にならざるを得なかった。


そんな中、私はふと思い出して、

「そういえば、さっき話した席のことなんだけど。今日、笹中さんも言ってたの。ここに誰かの席があったような気がするって」


そう言った途端、久保川くんが顔を上げた。

「その、席があったんだとして。座ってたのは?」

「それがわからないんだよ」

本当に馬鹿げた話だけど。
記憶喪失?こんな大人数で?

「ないない」

久保川くんと声がそろった。

「同じこと考えたね」

「だな」

同時にため息をついた。

私達が今置かれている状況には、何か私達の手の届かないような力が動いたから…そんな気はするんだけど。

それが、一体誰の仕業で、どんな力なのか…

何1つ、つかめないまま。

ただ、小さなヒントを手繰り寄せるしかできない。
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